研究課題/領域番号 |
26360051
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
浅井 美智子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10212466)
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研究分担者 |
梅田 直美 奈良県立大学, 地域創造学部, 講師 (60618875)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | AID / 卵子提供 / 代理出産 / 体外受精 |
研究実績の概要 |
日本産科婦人科学会「倫理委員会報告」にある先端生殖医療の実績(平成10年~24年/)体外受精実績、先天性異常児実績、AIDの臨床実績等)の数量分析を実施した。毎年出てくるので、引き続き数量分析を行っていく。ここ4・5年、40歳以上の体外受精による出産での異常児が顕著であることがわかった。 本研究は「卵子提供による生殖」が日本で可能であるかを検討することを目的としているが、その際、もっとも考慮されなくてはないらないことが、提供卵子によって生まれてくる子どもがそれをどのように受けとめるかということである。この問題に示唆を与えるのが、歴史の長いAID(提供精子による人工授精)によって生まれた人々のAIDによて生まれたことをどう捉えているかである。2014年5月25日、『AIDで生まれるということ』(自助グループ・長沖暁子編)出版シンポジウムが開催され、AIDで生まれた人たちの生の声を聞くことができ、本研究における調査内容を組み立てる際のきわめて重要な点を示唆された。詳細は調査の中で示唆していく。 また、「代理出産を問い直す会」がアメリカで制作されたドキュメンタリー映画「卵子提供 美談の裏側」(The Center for Bioethics and Culture Network)の日本語版を制作、貸出をしていることがわかり、本研究代表・浅井の本務校(大阪府立大学)で、この映画の上映と「卵子提供について考える」シンポジウムを主催した(2014年10月18日、場所:大阪府立大学 I-siteなんば)。シンポジストは、荻野美穂(元同志社大学教授)、柘植あづみ(明治学院大学教授)、柳原良江(東京電機大学助教、代理出産を問い直す会代表)の三名である。詳細は、大阪府立大学女性学研究センター『女性学研究 22』にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AIDによってうまれた人々の自己認識と先端生殖技術に対する意見が公表され、先端生殖技術によって生まれるということが、この技術によって子どもを得たいという意識と対立していることが明らかになった。また、卵子を提供することによる身体の損傷、命の危険があることを映画「卵子提供 美談の裏側」によって明確に了解された。このことを踏まえて、「卵子提供」を「ドナー」「レシピエント」だけでなく、「生まれる子ども」の3視点から問う必要があることがわかったため、調査内容を再度組みなおすことが必要が生じ、検討した。27年度に調査をずらしたが、より良い視点が投入されたことが評価でいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、「卵子提供 美談の裏側」の上映とシンポジウムを行い、卵子提供の負の側面が明らかになった。併せて、生まれる子どもの存在視点を投入し、「卵子提供者」「卵子の提供を受けて子どもをもちたい人々」「卵子提供によって生まれる子ども」の3視点から「提供卵子による生殖」の可能性を探る。 研究の進め方としては、①インターネット調査によって、「提供卵子による生殖」に対する意見を上記3視点から明らかにする。さらに、大阪府立大学女性学研究センターにおいてコロキウムを開催する。その内容は、「卵子提供の経済」(有料/ボランティア、身体の負債)を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金は26円であり、不要なものの購入はしなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度予算において、26円は消耗品の購入に充てる予定である。
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