本研究の目的は、1963年から2010年までに日本で放映されたテレビアニメ作品のデータベースをもとに、テレビアニメに描かれるナショナルイメージの傾向を明らかにすることである。今回は作品の舞台となった国の分布や主人公の外見の人種的な特徴について、「少女向け」「少年向け」「大人向け」という3つのカテゴリごとに比較・分析した。その結果、「少年向け」アニメや男性キャラクターが日本を舞台に黒髪で描かれ、日本というナショナルイメージを背負ってきたのに対して、「少女向け」アニメや女性キャラクターは、人種を基盤とするようなナショナルイメージには縛られず、多様なナショナルイメージを引き受けていることがわかった。
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