研究課題/領域番号 |
26360064
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
山田 良治 和歌山大学, 観光学部, 教授 (00135831)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 観光教育 / 職業重視主義 / multi-discipline / inter-discipline / 新職業重視主義 / 国際情報交換(イギリス) |
研究実績の概要 |
課題にアプローチするに当たり、今年度は関連する文献の収集と分析と、海外の主要な観光教育高等教育機関の関係者に対するヒアリング調査を実施した。その成果は、論文等の形ではまだ公表に至っていないが、分析結果の概要は以下の通りである。 海外の高等教育機関における観光教育研究の歴史はそれほど古くなく、その本格的な展開は第二次世界大戦後、1960年代以降のことである。当初段階では、そこでの教育課程は職業重視主義(vocationalism)の傾向が強く、バックグラウンドは既存研究の集積としての学際的(multi-disciplinary)な研究蓄積であった。その後同じく学際的ではあるがinter-disciplinary、trans-disciplinaryな「観光学」の発展が見られるようになり、今世紀に入る頃にはこのような学術研究に支えられたハイレベルな高等教育機関が頂点をなす一学問分野と観光に関わる学問的コンセプトを冠した高等教育機関の発展が見られた。 近年の特徴は、先進諸国においても再び職業重視主義、実学的指向性の強まりが見られることである。例えば英国のサリー大学観光学部は、教育における産学間連携を強める機関として新たに"Enterprise Centre"を設置し、人材像として実業人養成を鮮明にしつつあるように見える。また、オーストラリアのクイーンズランド大学では、観光学部が一つの「プログラム」として"Business school"に吸収され、組織的に見る限り観光の学術分野的独立性が脆弱化された。本研究では、こうした一連のトレンドを新職業重視主義(new-vocationalism)と捉えることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サリー大学など、海外の高等教育研究機関に対する現地での調査が行えず、主として文献・資料の収集と分析、関係者に対する国内もしくはメール等によるヒアリング調査にとどまったこと。主たる理由は、交付金の減額という状況の中で、まずは必要な文献等の収集に重点をおいたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
観光教育に見られる実学志向への回帰トレンドを、「新職業重視主義」と概念化することの正当性について、以下の方法により検証していく。 1)観光分野での先進的高等教育研究機関を対象に海外現地調査を実施する。 2)これまでの成果を中間的に取り纏め、現時点での知見を学会等で公表する。 3)さらに文献・資料分析を進めるとともに、年度後半には現地調査の成果も含めた総括的な分析を行う。
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