日本型ヘルスツーリズムの事例研究として宿泊型新保健指導(スマートライフステイ)の事例調査研究を行った。全国23事業体の実施状況を調べ、ヘルスツーリズムで採用された地域資源を生かした観光メニュー、運動指導メニュー、栄養指導メニュー調査、事業化に向けた課題、特に健康医療従事者、観光事業者の連携協力のあり方、双方の知識、経験、健康問題が起きた際の対応ができる人材の必要性、備えるべき要素などをアンケート調査の結果を踏まえて考察した。健康と観光の融合であるヘルスツーリズムにおいて事業としての継続性には医療、保健、健康科学の知識と観光、事業(ビジネス)面の知識の両面を知るトータルコーディネーターのような存在を確保あるいは育成する必要性があること、収益面での課題が多く挙げられたが、自主事業による継続率は高く取組みへの意欲は高いことが明らかとなった。 日本再興戦略にヘルスケア産業の育成が明記され、その中にヘルスツーリズムへの期待が掲げられている。医療費抑制という社会ニーズと新しい雇用創造の可能性がヘルスツーリズムに期待され、保健指導型ヘルスツーリズムとして日本独自の発展を遂げつつある過程本研究で明らかとなった。ニューツーリズムとして現代に再登場を果たしたヘルスツーリズム解釈を次世代ヘルスケアとしてどう位置づけられるか、これまでのヘルスツーリズム定義の再考や海外動向を踏まえながら「日本型ヘルスツーリズム」として再構成を図る研究の継続を検討する。
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