研究課題/領域番号 |
26360072
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研究機関 | 函館大学 |
研究代表者 |
大橋 美幸 函館大学, 商学部, 准教授 (10337199)
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研究分担者 |
佐藤 元治 函館大学, 商学部, 准教授 (00275471)
津金 孝行 函館大学, 商学部, 准教授 (60236867)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 新幹線 / 北海道 / 観光 |
研究実績の概要 |
本研究は、北海道新幹線開業前後を通じて調査を行い、沿線自治体及び観光関連事業者の見込みや対策、評価をまとめ、加えて地元住民及び観光客の意識及び行動変化を把握し、近年の新幹線整備における新幹線効果の意味を考察するものである。今年度は、昨年度に引き続き北海道新幹線開業前の調査を行い、開業直前の基礎資料を作成した。 沿線自治体では、新幹線駅ができる北斗市・木古内町、近隣の中核都市である函館市、車両基地ができる七飯町についてこれまでの取り組みをまとめた。開業1年前であり開業前PRイベントが多く行われていた。加えて、木古内町等の9町が提案する周遊観光に対してニーズ調査を行った。一定程度の希望があり、一層の広報が必要と考えられた。 観光関連事業者は、比較のために先に北陸新幹線が延伸された金沢市内の飲食店及び宿泊施設の調査を行った。新幹線開業に向けて取り組みを行っていたのは飲食店の4割、宿泊施設の7割であり、メニューの改定、改装等が実施されていた。開業後、飲食店の6割、宿泊施設の95%以上で利用客が増加しており、飲食店では開業に向けた取り組みによって差が見られた(取り組みを行っていた飲食店の9割で利用客が増加していた)。 北海道新幹線の認知度は、地元住民の多くが開業予定時期及び新幹線駅の場所を知っていたが、観光客にはあまり知られていなかった。開業後の利用意向は、東京、北関東、東北在住者ともに「利用する予定」と「ぜひ利用したい」を合わせると半数を超えていた。函館への交通手段として東京と北関東在住者の7割、東北在住者の9割が新幹線と答えており、乗り換えが進むと考えられる。新幹線沿線の住民は、地元への経済・社会的影響をおおむね肯定的に捉えていたが、並行在来線問題をかかえる地域において若干評価が下がっていた。 次年度も引き続き調査を行い、北海道新幹線開業後を含めて経過を分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は昨年に引き続いて北海道新幹線開業前の調査を行い、経過をまとめるとともに、他の近年の新幹線開業地域を調査し、来年度の北海道新幹線開業後調査に向けて、比較可能な基礎資料を作成することができた。具体的には①自治体、②観光関係事業者、③地元住民及び観光客の3種類の調査を行った。 ①については新幹線新駅及び車両基地立地自治体、近郊の中核都市に対して計画通りインタビューを実施し、開業前の経過をまとめることができた。来年度は開業後の成果等について経過を追う予定である。 ②については、北陸新幹線が延伸された金沢市内の飲食店、観光施設、宿泊施設に対して、アンケートを実施し資料をまとめることができた。来年度は北海道新幹線開業について、函館市内の観光関連事業者に対してインタビューを実施し比較を行う予定である。 ③については、街頭アンケート等を実施し、ほぼ計画通りの回収数を得て、認知度、期待、利用希望等をまとめることができた。来年度は同様の方法で、新幹線開業後の利用状況、利用希望、地元への影響等について実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の研究課題は、①北海道新幹線開業後の成果評価や意識変化をまとめ、②3年間の調査結果から近年の新幹線整備における新幹線効果の意味をまとめることである。 ①については、開業前の基礎資料が作成できており、開業前と比較が可能な手法及び調査項目で、開業後の自治体へのインタビュー及び資料収集、観光関連事業者へのインタビュー等、地元住民及び観光客への街頭アンケート等を実施する。自治体数はほぼ同じであり、経過を追って調査を行う。観光関連事業者は函館市内の事業者に対して調査を行う。地元住民及び観光客へは、観光イベント等を利用しながら、これまでとほぼ同じ回収数の見込んでいる。 ②については、これまでの調査をふまえて、事例分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度の調査報告書の印刷が間に合わず、2016年度にまわしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度の早期に、2015年度の調査報告書の印刷を行う。
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