海外特にマレーシア(学部間協定校のマラヤ大学、マレーシア科学大学および、個別交流のあるプトラ大学、ラーマン大学、南方大学、新紀元大学など)及び日本国内の中国語、英語、日本語による先行研究と人的リソースについて収集・聴取(関東、関西圏の観光関連学会、日本観光研究学会、観光学術学会など)とそれらの整理を行った。本学での国際移動と言語文化についての国際シンポジウム実施に際し、事前準備、事後フォローを含めた一連の研究活動によって、最終年度に相応しい実績を挙げ得た。国際シンポジウムは後述の継続課題と関連するが、マレーシア・プトラ大と共同で国共内戦期、冷戦期の本研究課題を中心テーマとし、国内外(マレーシア、シンガポール、台湾、アメリカなど)から研究者が集い、各自の研究発表と終了後のエクスカーションでの膝詰めの議論によって、豊かな知見が得られた。国内では英語を交えた国際学会が多いが、国外参加者の民族語に合わせ、運営、発表とも中国語使用としたことで、他に類を見ない個性的な国際研究集会が実施できた。こうした経験を踏まえ、今後も同様の実施を続けていきたい。 現地調査としては、マレーシア、シンガポールの他、学内派遣予算を併用した台湾での比較的長期の実施によって本研究後の課題継続が明確化した。上記国際シンポジウムで提起された、冷戦期、すなわち現在の人の移動状況の基盤になった時代の分析、検討がそれに当たり、こうした視座は少なくとも国際的なアジア研究において、現時点で共有されている。 これらにより、華人コミュニティの中の移民と観光についての文化資源の構築や変容について、明らかにすることができた。
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