研究課題/領域番号 |
26360085
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
内田 彩 千葉商科大学, サービス創造学部, 准教授 (60632750)
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研究分担者 |
浦 達雄 大阪観光大学, 観光学部, 教授 (40270152)
崎本 武志 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (00468951)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 温泉 / 湯治 / 滞在型 / 長期滞在 / 湯治文化 / 地域活性化 / 温泉地 |
研究実績の概要 |
本研究は温泉地の長期滞在の構造と変容過程を整理し、「湯治場」「温泉観光地」における滞在型への取り組みの現状と課題を明らかにしたうえで、温泉地における長期滞在のモデルについて考察することが目的である。本年度は「現代の温泉地における中・長期滞在の可能性」を明らかにするため、代表研究者、分担研究者、研究協力者が過去2年間の研究成果を踏まえたうえで、対象温泉地の現状と課題について調査をおこない、その研究成果を国内学会等で報告した。さらに3年間の研究で得られた結果の妥当性を検証するため、中長期滞在に取り組む山形県肘折温泉において、「滞在をのばす温泉地の魅力づくりを考える―肘折温泉・意見交換会―」を開催し、3年間の研究成果を公開するとともに、研究者、観光関係者、地域住民などが意見交換を行うことにより研究を深化させることを試みた。この内容については『長期滞在どう促す、温泉地魅力向上へ意見交換会』山形新聞(2017.2.17)、『肘折モデルで温泉地再生を 専門家ら意見交換会』朝日新聞(2017.3.1)に掲載された。 意見交換会では温泉地の「湯治」という歴史性をふまえ、温泉地の療養・保養機能への理解とその活用の重要性と共に、温泉地としての「新しい価値の創造」の必要性が確認された。また、肘折温泉は山と川に囲まれ歴史的な温泉集落としての構造が現存し、地域が「旅館はお部屋、道路が廊下、お店が売店」という共通認識のもと、ひとつの「宿」として維持されてきた。これが滞在者の滞在生活を支えるために生まれた朝市に代表されるように、温泉地全体が「湯治文化の場」という非日常性をつくりだしていた。滞在者は滞在日数の増加とともに非日常性が薄れていくが、滞在型を重視してきた集落全体が、「異なる日常性」ともいえる非日常性を有していることは、今後より深めていくべき重要な観点であることが明らかなった。
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