研究課題/領域番号 |
26360090
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
李 桓 長崎総合科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30341556)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 北部長崎 / 都市化 / 原爆 / 年表 / 空間変容 / 平和学習 |
研究実績の概要 |
今年度は被爆の中心地である北部長崎の歴史的変容と空間的変容への解析を中心に研究作業を行った。1945年8月9日の原爆投下を区切りとして、それまでの都市形成と、それ以降の復興を考察することとしており、原爆投下までの都市の歴史的変容については、考察を一段落終えている。原爆以降の復興については現在作業を続いているところである。 研究成果としては具体的に以下の論文にまとめ、発表している。①原爆投下までの北部長崎の都市化(日本建築学会九州支部研究報告集)②原爆投下までの北部長崎の都市化の考察ー主要施設の立地と形成時期を通してみる(長崎総合科学大学地域科学研究所紀要)③年表から見る原爆投下までの北部長崎の都市形成(長崎総合科学大学紀要)。原爆投下までの都市の状況については、時間軸(年表)、空間軸(地図)に沿って一定の解明ができている。不足点として、戦前の写真資料が非常に少ないために、ビジュアルに考察しにくい課題が残る。 原爆以降に関しては、①年表の整理を進めているところである。②原爆直後から昭和55年頃までの約10年間の写真資料を収集した。③長崎復興関連の文献資料、地図資料と重要施設の資料を収集した。④戦後の新聞記事を調査し、関連の資料を入手した。⑤ヒアリングを数件行い、断片的ではあるが、戦後の状況についての情報を少し入手した。これらの資料の整理と分析はこれから作業していく。 平和学習の在り方を検討し、平和展示施設を比較するために、広島や沖縄にある平和関連施設について基礎的な調査を行った。他都市における施設との比較資料を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育に関わる時間がだんだん増える状況にあり、研究に使える時間が非常に限られ、調査を行う時間が十分に取れないことが遅れの要因の一つとなっている。また、前年度(平成27年)の作業は手探りしながら作業していた。焦点を絞った作業がやや不十分であった。これらの影響により、進捗は当初の計画より遅れているところがある。特に研究の主軸である戦後復興についての考察は、まだ十分に展開できていない状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
1)限られた時間を有効に利用しながら、入手した資料の解析と整理を行う。 2)解析結果に応じて、資料の追加調査を行う。 3)研究の体系化を図りながら、各構成をまとめる。 4)全体のまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の中で予定していた海外調査(アメリカ国立公文書館など)は日程が立てられなかったため、平成27年度では執行できなかった。そのため、使用額は当初計画していた金額よりも少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度において、海外調査を組む計画である。資料調査のほか、原爆投下関連の施設(テニアン島の原子爆弾積荷場など)や戦争遺跡と戦争関連展示施設の調査も取り組みたいと考えている。旅行会社と相談しながら調査日程を組みたいと考えており、8月以降の執行になる。
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