研究成果の概要 |
京都学派の創始者であり、日本を代表する哲学者である西田幾多郎(1870-1945)が1923年から1932年(以下「第Ⅱ期」と略)に執筆した「場所」および「論理」に関する論考を翻訳・解析した。西田幾多郎全集4,5,6巻をフランス語訳(世界初)・出版した。難解と言われる西田の包含的論理を応募者独自の手法により構文解析した。さら倫理学、文体論からの解釈、近代物理学との相関等、第Ⅱ期の哲学を新しい視点から解読した。成果を4冊の書籍、査読付き論文9報、国内外での22件の講演で報告した。研究成果に対して「日本-カナダ文学賞」、「学術出版物著者賞」、3件の出版助成金を受領した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「場所」および「論理」等の西田哲学の重要な概念が展開された第Ⅱ期の哲学諸論文が収められた西田幾多郎全集4,5,6巻をフランス語に翻訳、詳細な注釈を加えて3冊の書籍を刊行した。これは世界初であり、西田哲学への世界の識者のアクセスを可能にした。難解と言われる西田の包含的論理を応募者独自の手法により構文解析した。従来、禅仏教との関連で語られることが多い西田哲学を倫理学、文体論、近代物理学との相関等、第Ⅱ期の哲学を新しい視点から解読し、論文、講演を通じて国内外の研究者に認識させることができた。西田哲学の啓蒙書の刊行、カナダやフランスの大学博士論文の審査員としても活動した。
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