研究課題/領域番号 |
26370007
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山田 圭一 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (30535828)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | アスペクト / 知覚 / プロトタイプ / 絵画 |
研究実績の概要 |
二年目の本年度は、一年目のウィトゲンシュタインのアスペクト知覚の議論に関する文献的な研究の成果をもとに、彼の知覚の哲学の独自性と特徴を現代の絵画論、知覚心理学、知覚の哲学の道具立てを借りながら明らかにした。 ウィトゲンシュタインは「純粋に視覚的なアスペクト」と「概念的なアスペクト」という二つのアスペクトの区別を行っており、前者はゲシュタルト心理学が扱っていた「体制化」に相当し、現代の知覚の哲学ではアスペクト転換の現象的な性格の変化に対応する非概念的な表象内容として論じられているものである。後者はウィトゲンシュタインが「類似性を見る」という際に考えているアスペクトであり、こちらのアスペクト知覚においてはプロトタイプとの類似性を通じた対象のカテゴリー化が行われている。 以上のような分析を踏まえて、アヒル-ウサギ図においてこの両者のアスペクトがどのように重なり合っているのかを絵画知覚の二面性という観点から明らかにし、ウィトゲンシュタインのアスペクト論の独自性を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年目の目標であった現代の知覚の哲学の文脈のもとでウィトゲンシュタインの知覚論を位置づけるという点はおおむね達成できた。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、一年目の研究で終わらせられなかったアスペクト論の来歴を中期ウィトゲンシュタインのなかにたどり直すという課題を達成したうえで、二年目の研究成果によって明らかになった後期ウィトゲンシュタインの知覚の哲学がいかにして彼の最晩期の思想へとつながっていったのかを考察し、ウィトゲンシュタインの中期・後期・最晩期の思想の変遷を明らかにしたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
中期と最晩期のウィトゲンシュタイン関連書籍を未購入のため
|
次年度使用額の使用計画 |
中期と最晩期のウィトゲンシュタイン関連書籍を購入する
|