研究課題/領域番号 |
26370012
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
三谷 尚澄 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (60549377)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ウィルフリッド・セラーズ / 進化的自然主義 / ルース・ミリカン / ロバート・ブランダム / 所与 |
研究実績の概要 |
「ウィルフリッド・セラーズの哲学について、その全貌を明らかにする」という目標を達成する一環として、交付申請書に記載された目的・計画に従いつつ、とくに次の諸点について明らかにした。 (1)「進化的自然主義というキーワードとのつながりからセラーズの哲学体系のあり方を明らかにする」という研究計画において、研究成果を得た。より具体的には、セラーズの後継者であるルース・ミリカンとロバート・ブランダムの理論とセラーズ自身の哲学を比較・検討し、セラーズの哲学には一見対立するかにみえるミリカンの「進化的自然主義」とブランダムの「社会プラグマティズム」を総合的に取り込む哲学的ポテンシャルが見出されうることを明らかにした。また、本項目に関連する研究成果を、応用哲学会、The Second Conference on Contemporary Philosophy in East Asia (2nd CCPEA)、The Collective Intentionality IXにおいて発表するとともに、論文「‘The Return of the Dad: On Millikan-Brandom Debate about the Legacy of Wilfrid Sellars’」として公開した。 (2)セラーズ哲学のキーワードである「所与」概念について、従来提示されたことのない新しい視点からのアプローチを試みた。より具体的には、7世紀インドで仏教論認識論を展開したダルマキールティの「アーカーラ」という概念とセラーズにおける「所与」概念の関係について、比較哲学的観点からの検討を行った。また、その研究成果を、筑波大学における国際シンポジウム“Philosophy Across Cultures: Transmission, Translation and Transformation of Thought”において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」に則した内容の研究を、国内・国外の定評ある複数の学会で発表(査読有)し、また、英語論文(査読有)でも成果を公表することができた。以上から、本年度の研究の目的については、おおむね順調に進展していると判断することができる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、「英米哲学史における実在論」との関係をめぐる視点から、セラーズ哲学の全貌を明らかにする研究に取り組んでいきたい。すでに、27年度の国内学会・国際ワークショップでの依頼発表を行うことが決定しており、それらの機会において、27年度の研究テーマと関連の深い「セラーズにおける真理」概念をめぐる考察と、「セラーズにおける所与」概念の新しい観点からの考察について成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画より安価に物品が購入できたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はH27年度請求額とあわせ消耗品費にあてる予定である。
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