研究実績の概要 |
「ウィルフリッド・セラーズの哲学について、とくに20世紀英米圏における実在論哲学との影響関係に注目しつつ、その全貌を明らかにする」という目標を達成する一環として、交付申請書に記載された目的・計画に従いつつ、とくに次の諸点について明らかにした。 1)現代アメリカを代表するセラーズ派の哲学者であるロバート・ブランダムの真理論に注目し、ヒュー・プライスやルース・ミリカンといった(ブランダム同様、セラーズに決定的な影響下に独自の理論を構築している)哲学者との対比を通じて、「表出主義的プラグマティズム」の立場から提出されたブランダムの真理論について、その哲学的意義と射程を評価した。また、その研究成果を、査読誌論文として公表した。(「表出主義的プラグマティストの真理観」、『アルケー』) 2)セラーズ哲学における「写像」の理論に焦点を合わせ、通例セラーズに好意的な解釈者の間ですら積極的な評価がなされてこなかったその哲学的意義を明らかにした。より具体的には、ルース・ミリカンによるセラーズの写像解釈が取り上げられ、ミリカンの解釈がはらむ弱点の指摘とともに、セラーズのテキストを適切に解釈するとき、彼の写像の理論にどのような哲学的ポテンシャルが見出されうることになるかを論じた。また、その研究成果を、査読誌論文として公表した。(Naozumi Mitani, Picturing and Meta-Linguisitc Expressivism, ”Contemporary and Applied Philosophy, Selected Papers of 2nd CCPEA")
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