プラトンの自然観において、ソーマ(物体)の無秩序な動に先だって存在するのは、「自分で自分を動かす動」としてのプシューケー(魂/生命原理)であり、プシューケーが物体よりも年長であり、先在するとされる。『ティマイオス』では、プシューケーが第一原理とされ、ソーマは副原因と認定される。『ソピステス』、『ピレボス』、『法律』でも、ソーマを第一原理とする物質主義的機械論は明確に否定され、プラトンはプシューケーを自然世界の第一原理に据えている。プラトンは、ソーマでなく、ヌース(知性)をもつプシューケーこそを自然世界の第一の原理とすべきであるとして、我々が抱く常識的自然観の根本的転換を求めている。
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