近代の世俗化を通して公的領域における宗教の意義は小さくなったと言われる。しかし、宗教は近代においても、人間のイマジナリーの源泉の一つとして、共生の様々なレベル―環境への態度、政治権力の正当化、社会や個人の意義、人間が生き抜くための動機づけ等―において、功罪両面にわたって重要な役割を果たしてきた。本研究は、宗教の果たしたこのような両義性と国によって異なる多元性を、ニーチェ、ハイデガー、ラインホールド・ニーバーのテキストから掘り起こし、特に自由民主主義をめぐってそれぞれが描いた構想を、各々の思想的・歴史的な背景から解明を試みた。
|