研究課題/領域番号 |
26370027
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20453219)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生き方 / 行為 / 信仰 / 感情 / 現象学 / 生活世界 / 他者 / 間主観性 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、生き方の倫理学の可能性を拡大する検討を行うことができた。とりわけ、現象学に関連する研究を深めることができたことには大きな意味がある。しかも、フッサール、ハイデガー、レヴィナスという現象学者のそれぞれについての研究成果を残すことができた。フッサール研究会では、フッサールの生活世界論の再読の試み(「新資料を読む」)を発表することができた。そこでは、世界で生きるという日常の実践の構造への分析の意義を検討した。『ハイデガー・フォーラム』の掲載論文「この世界を信仰すること」では、フッサールとハイデガーの比較研究をおこなった。双方の哲学の相違から、世界を生きることへの理解の相違を浮き彫りにすることができた。とりわけ、フッサールにおける実践理性の議論の可能性を検討して、信仰という要素の役割を明らかにすることができた。レヴィナス研究会では、『蘇るレヴィナス』(小手川正二郎著、水声社)への書評というかたちで、レヴィナスの倫理学の新たな可能性へのコメント(「レヴィナスが蘇るために」)をすることができた。応用倫理やケアの倫理などを視野に入れた現代倫理学に対するレヴィナスの関係を確認する機会になった。フッサール、ハイデガー、レヴィナスの三者はいずれも、功利主義やカントの義務論などの近代道徳哲学が正面から扱うことのなかった生き方を正面からとりあげ、実践、世界、他者、信仰、ケアなどの問題を扱うことに成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関連した学術論文を一つ、研究発表を二つ、翻訳を一つ発表することができた。ケアの倫理・哲学についての研究の成果は、次年度に持ち越されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は研究の最終年度になる。これまでの研究の集大成として、いくつかの成果(共著、論文、学会発表)を発表する予定になっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校正を予定している時期が、平成28年度になった。
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次年度使用額の使用計画 |
英文校正の代金を6月に使用する。
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