本研究は和辻哲郎など近現代の日本の思想家たちの儒教理解の方向性を分析し、それを土台に儒教理解の再構築への可能性を打診したものである。本研究は今までの研究成果を踏まえつつ令和元年度(2019年度)において「日本近世儒学における「心」の問題」(『日本女子大学紀要人間社会学部』30号、2020.3)を発表した。「心」の問題を中心テーマに掲げたこの論文では和辻哲郎の儒教認識に関する分析、そして「心」を中心に朱子学と伊藤仁斎の儒教思想との総合比較が行われた。比較における問題提議を明確にした上でさらにこの論文は朝鮮の丁若鏞の思想との比較を行い、日本の倫理思想における儒教の特徴及び変容の再考察を試みた。
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