本研究の目的は、「働くことの意味と所得保障政策との規範的な関連性」について検討することにあった。労働を取り巻く日本社会の現状を踏まえて、「働くことの意味とは何であるのか」「働く権利というものを人々に付与することは可能であるのか」「ベーシックインカムのような所得保障政策と労働への権利は両立可能であるのか」といった諸問題を本研究では考察した。この研究の成果として、賃労働だけが「働く」ことではなく、社会貢献的な活動も「働く」ことであるとみなすことができ、こうした広義の「働くこと」を有意義な仕方で全ての市民に保障するためには、ベーシックインカムという所得保障政策が実施される必要があることが判明した。
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