研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、明朝の第三代皇帝である永楽帝の命令を受けて編纂された朱子学系叢書・三大全のひとつである『性理大全書』の士大夫社会における普及の実態を、思想史的展開とも関連づけながら解明するものである。文献調査の結果、この書物には、正徳年間以降、幾つかの注釈書が作成されるとともに多様な節略本や批判的著作もまた編纂され、明末期には、陽明学の浸透に伴いその改定も検討されたことがわかった。そしてこの風潮は王朝交替後もその一部が引き継がれ、康煕帝による『性理精義』として生まれ変わったのである。
中国近世思想史研究