研究課題/領域番号 |
26370046
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
伊香賀 隆 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 特別研究員 (20722995)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 朱子学 / 安東省菴 / 易学啓蒙 / 邵康節 / 象数易学 |
研究実績の概要 |
本年度は、安東省菴編『啓蒙難解』(朱熹『易学啓蒙』についての注釈書を集大成した書)の「巻之中」について出典及び構成配列を明らかにし、さらにその思想内容について検討を行った。「巻之中」は、『易学啓蒙』巻之二「原卦画第二」についての注釈であり、省菴は本文を十九章に分けてそれぞれに解説を付している。解説は主に「巻之上」と同様、そのほとんどが『易学啓蒙補要解』『啓蒙伝疑』『周易全書(周易古今文全書)』『天原発微』からの引用であった。省菴はこれらの書から実に様々な注釈を紹介しており、これを丁寧に読んでいくことでその思想内容をより深く考察することができた。そして以上の成果を、「朱熹『易学啓蒙』研究(2)」(『東洋学』第53号、平成28年3月)として発表した。ただ、思想内容に関しては、前稿同様その概略を記すのとどまっており、具体的な考察結果は、今後、別の形での発表を検討している。 また本研究では、安東省菴編『啓蒙難解』の翻刻も目標に掲げているが、本年度は「巻之上」(図以外)をほぼ終えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、「巻之中」(『易学啓蒙』巻之二「原卦画第二」に相当)の検討を行ったが、昨年度に基本文献の蒐集(もしくはデジカメ撮影)および書誌調査を終えていたこともあり、出典及び構成配列に関する調査は順調に終えることができた。ただその思想内容の検討については、難解な所も多く(特に「伏羲八卦図」「伏羲六十四卦図」「文王八卦図」)予想以上に時間を要した。翻刻作業については「巻之上」を進めたが、多く収録されている図の処理に難儀した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である28年度は、『啓蒙難解』「巻之下」について出典及び構成配列を明らかにし、さらにその思想内容について検討を行う。そしてその成果を、「朱熹『易学啓蒙』研究(3)」(『東洋学』第54号、平成29年3月)として報告する予定である。翻刻作業に関しては、当初、「巻之上」「巻之中」「巻之下」全巻を考えていたが、「巻之下」は占筮技術についての解説であることから、また「巻之上」に多く収録されている図の処理に時間を要することから、先ずは「巻之上」「巻之中」の完成を目指す。また引き続き江戸期における『易学啓蒙』注釈書の蒐集を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、成果刊行物や旅費等で出費が大きくなると予想されたために、一部繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
成果資料の刊行。
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