本研究では、道教儀礼を専門とする研究者を中心に国際的な研究交流を行うことで、清代道教の基本的な特徴を摘出した。すなわち(1)「士人による道教」。儒者としての立場や教養をもつ在家の信徒が従来の道教の枠組みを改変するような積極的かつ独創的な担い手となること。(2)「扶ケイの機能」。士人が道教の伝統に介入する際の重要な手段としての扶ケイの機能。(3)「在家と出家」。(4)「明清仏教との交流」。普度や戒律、あるいは十王信仰等に見る仏教との間の交流。(5)「南中国の諸宗教との関係」。ヤオ族の宗教をはじめ、清代以来の南中国の民間の宗教との関係把握、の5点である。明代道教については課題が残った。
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