最終年度に該当する本年度は、現地調査の都合で延長申請した年度である。先ず国内における文献研究については、本年度の印度学仏教学研究学術大会(平成29年9月2日花園大学)において「ヴェーダ祭式における犠牲獣の殺害行為と祭式学的展開―pazuupakaraNaとそのマントラ構成-」と題して発表を行った。 また定期的な研究活動として、京都大学人文科学研究所共同研究班「ブラフマニズムとヒンドゥイズム」に参加した。2月9日に「ヴェーダ祭式で用いる香[料]をめぐって」と題した報告を行った。それを発展させ、第4回シンポジウム「ブラフマニズムとヒンドゥイズム:南アジアの社会と宗教の連続性と非連続性―第4回シンポジウム:古代・中世インドの[儀礼][制度][社会]」(3月24日-25日、東京大学)において「儀礼における「香」の利用」と題した発表を行った。 もう一方の主要研究テーマである現代インドのヴェーダ祭式調査においては、当初の最大の目的であった大規模ソーマ祭「ヴァージャペーヤ」の開催を期待して延長を申請したが、残念ながら平成29年度見送られた。しかし期間中、穀物祭とソーマ祭を各々一度執行していたことが判明したため、最終年度の渡航においては、それらについての取材を主な目的とした。特に後者のソーマ祭については、直接の記録は叶わなかったが、聞き取りと現地で配布されたパンフレットの入手によって詳細な日程を知ることができた。「ヴァージャペーヤ」の延期は経済的理由が大きいということだが、今後も執行の可能性は残されており、いずれは記録する機会があると見込まれる。
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