研究課題/領域番号 |
26370055
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
米澤 嘉康 大正大学, 仏教学部, 講師 (50710373)
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研究分担者 |
吉澤 秀知 大正大学, 仏教学部, 講師 (00646391)
平林 二郎 大正大学, 付置研究所, 研究員 (30724421)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 『律経』 / サンスクリット語写本 / 国際情報交換 / インド:チベット |
研究実績の概要 |
平成26年度は,3つの目標を定めて研究を推進する予定であった。それは,次のとおりである。1.1次資料のデータ化,2.2次資料の収集・整理,3.国際学会における意見交換である。 以下,その項目ごとに実績の概要を記すこととする。 1.1次資料として,『律経』・『律経自註』「出家事」部分のローマ字化を挙げた。このうち,『律経』写本については,行間の注記以外の部分,Bapat&Gokhaleの校訂本の準拠する『律経自註』写本,さらに,『律経自註』ウメ字抄本写本については,ほぼ完了している。 2.2次資料の収集としては,書籍・研究論文の入手のみならず,そのデジタル化をすすめている。後者のデジタル化については,若干の遅れをきたしているが,平成27年度に持ち越したとしても確実に取り返すことのできる状況にある。また、本研究では、『律経』や『律経』と関連する研究をおこなっている研究者とインターネット上で交流をはかったが、細かい疑義については解決に至らなかった。そこで、3月に、研究代表者(米澤)と分担者(平林)とで京都を訪ね、研究会を開催した。これによって『律経』について活発な議論がおこなえ、また、律文献を扱っている若手研究者とも交流を持つことができた。 3.国際学会における意見交換としては,研究代表者(米澤)がウィーンで開催されたInternational Association of Buddhist Studies学術大会に参加し,国外の研究者とコンタクトをとることができた。その結果,関連分野で成果を挙げている研究者と情報交換ができたが,『律経』研究という本課題において,既知の研究者以外で勧誘すべき若手の人材は必ずしもいないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では初年度の平成26年度を研究の土台を固める期間として計画していた。そこで,この研究計画にしたがって,『律経』・『律経自註』「出家事」のテキスト校訂,ならびに,翻訳を厳密に遂行するための準備をおこなった。この点に関しては,『律経』写本における行間の注記の検討に若干の遅れが生じていることを除いて,ほぼ計画通りに進展しているといえる。また,膨大な律文献全体を効率的に研究するという本研究の目的にかんがみて,2次資料の収集,ならびに,国内外の研究者との情報交換を含めた交流をおこなえたことは,初年度の研究計画どおりほぼ達成されたといってよい。 なお,平成26年度において,あまり研究論文は発表されていないが,当初の計画においても,研究論文の発表は平成27年度より,頻繁に行う予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に達成された基礎作業の成果をふまえ,平成27年度からはテキスト校訂,ならびに,翻訳作業を実際に進める計画となっている。この研究計画を円滑に進めるために,インターネット上のクラウドサービスを使用することを考えている。これによって,本研究に関わるすべての研究者と最新の研究成果を共有し作業の効率化を図ることになるであろう。 また,初年度の経験によって,研究会を開催する際に,実際に面会する必要がわかった。そこで,平成27年度は,国内の『律経』研究者のもとを訪問し,『律経』、ならびに、『律経自註』の検討会を開催する予定である。 この他、平成27年度より、『律経』テキストに関する研究成果を、学会発表、ならびに、学会誌投稿を通じて一般に公開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を進める際に必要となる,1次資料,ならびに,2次資料を入手したばかりでなく,デジタル化・データ化の選定をおこなった。しかし,実際の作業にまではいたらず,そのために準備した人件費・謝金の執行ができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究にとって必要な資料(選定済)のデジタル化,もしくは,データ化をおこなう。
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