11世紀にカシミールにおいて編纂された『ボーディサットヴァ・アヴァダーナ・カルパラター』の、サンスクリット語文献の翻訳研究を行った。三年間の助成期間で、第29章「カーシスンダラ物語」から、第38章「クシャーンティ物語」までの章、および前書きの和訳を行った。また本文献に基づく美術作品の分析を行い、説話図においてそれぞれの物語と情景の同定を行い和訳と同時に発表した。さらに、本文献と関連を示す類話や絵画の研究を行い、本文献を中心とするインド北部からチベットに至る仏教文化の諸相について数編の論文に表した。
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