| 研究課題/領域番号 |
26370072
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| 研究機関 | 皇學館大学 |
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研究代表者 |
櫻井 治男 皇學館大学, 文学部, 教授 (00087735)
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| 研究分担者 |
谷口 裕信 皇學館大学, 文学部, 准教授 (10440835)
齋藤 平 皇學館大学, 文学部, 教授 (70247758)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 近代伊勢神宮史 / 御師職 / 宗教と観光 / 伊勢参宮 / 中川采女家 / 伊勢信仰 / 岩井田家資料 |
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| 研究実績の概要 |
当年度は、研究計画に基づき①対象となる旧御師家所蔵資料の画像データベース化、②資料内容の翻刻と宿泊関係データの入力、③伊勢信仰の実態把握を主眼とした。
①研究対象の中川采女家旧蔵資料の簿冊12点の書誌情報を確認し、約6000コマの画像データの取り込みを終了した。今後の資料公開のために加工・整理を順次進めた。
②当該名簿は、慶應元年（1865）～昭和18年(1943）までの記録となっており、その解読とともに住所・氏名・年齢、グループ名称など、入力作業を進め、参宮者の出身地、宿泊グループの特徴など概要把握につとめた。中川采女家は、筑前・筑後・肥後・豊後の4か国に檀家を持ち配札を行っていた。明治4年の師職廃止後は、伊勢神宮（内宮）の宇治橋前において、「神州館」の名称で旅館を営業し、名簿によれば、宿泊者は福岡・大分・佐賀各県からの参宮者が主となっている。この点で、旧来の檀家地域からの参宮が多く見られるが、必ずしもその範囲に留まらない場合もある。また、数十名に及ぶ参宮グループ、多数にのぼる女性の参宮者など新時代の参宮変化も見られ、当該資料の研究上の価値を一層明確にすることが出来た。
③実態調査は、福岡県～大分県に至る街道沿いの集落を中心に現状調査を行った。神社への参宮記念建碑、奉納品（絵馬・灯籠・手水鉢）をはじめ「大神宮」などと通称される集落内の神社を確認し、それぞれの地で伊勢信仰や伊勢参宮の実態につきインタビューを試みた。また、近隣の「英彦山」参詣の慣習が実修されており、当該地域の拠点的な信仰対象と伊勢信仰との関係性など今後の研究課題に接した。併せて伊勢信仰・伊勢参宮にかかる資料収集も行った。
上記のほか、旧御師家である岩井田家所蔵資料の調査成果との情報交換を進めた。なお、学会での研究発表とともにニュースレターを発行し、大学のホームページを通して公開・閲覧の機会を提供した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①中川采女家資料の画像データ収集は完了したが、そのデータと原本との確認作業は80％にとどまっており、また公開に向けた方策などは環境整備の準備状態で、さらなる検討課題として残った。
②資料の解読とデータ入力は、30％ほどの完成度である。当初は40％の達成を見込んでいたが、毛筆筆記の解読、現在地名との確認など詳細なデータ入力作業を行っており、時間を必要とし、次年度では基本的な入力作業は終了の予定である。
③調査としては、伊勢信仰関係の現地調査及び関係資料の調査収集を予定通り進めた。ただし、対象地域を拡大するには研究体制として規模が小さく、そのために研究上有効な地域を特化しつつ、研究協力者の更なる協力を得て進める必要があると考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り進めることで問題はなく、計画を大きく変更することはない。今後の研究推進として、次の4点に力を入れることで完成を期したい。
①中川采女家の資料解読とデータ入力を早期に完成させ、そのデータをもとに近代における地域社会の伊勢参宮の変容を具体的に分析し、伊勢神宮の有する聖地性と観光面での訪問地という性格とが伊勢信仰の連続性と非連続性にどのような関係があるかを検証することにつとめる。
②資料に基づきながら、参宮者の出身地における伊勢信仰の様相について調査を進め、近代から第二次大戦を経て現在にいたる変化を解明する。
③中川采女家資料を理解する上で必要な旧師職家の資料調査・収集を進める。
④資料の画像データ公開を進めるためのデータ処理と公開の方策について具体的に検討し、その実現にむけて準備を整える。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
計画における「人件費・謝金」および「その他」の費目で当該年度の支出計画を下回る結果となった。当初は、画像データの取込・加工、ならびにデータ入力の補助として大学院生のアルバイトを予定したが、貴重資料の取扱の関係上、研究代表者、研究分担者、研究協力者の範囲でこれら作業を実施することとなり、資料保存のための物品費へ回したことと、また関係資料の撮影についても、資料の調査を優先させ、まとまった撮影を次年度以降に実施することが研究遂行上適切と判断したことによる。
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| 次年度使用額の使用計画 |
画像データの加工、データ入力の速度を早めるために研究分担者においてパソコンの購入を予定し作業効率を高める計画である。
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