研究課題
本科研は、チベット医学と仏教の接点をなしている『ユトク・ニンティク』の研究を主題としている。今年度は、最終年度にあたり、このテーマを深めるべく、「ニンティク」の伝統における「暗闇の修行」、マントラによる遺伝子の変化をめぐる密教医学理論『ユトク・ニンティク』において、究極の悟りとされている『虹の身体』などについて、海外での現地調査、高僧への聴き取り調査、チベット語経典の文献研究、および現代生理学、アーユルヴェーダ医学との比較研究を行った。その結果として、『ユトク・ニンティク』には、他の「ニンティク」の伝統と異なって、「テクチュー」、「トゥゲル」と呼ばれる修行が存在していないこと、「闇の修行」および「カルマムードラ」と呼ばれる修行が、その中核にあることが明らかになった。これらは、従来まったく理解されていなかった発見であり、チベット医学と仏教が、人間の生命とその変容について、どのようなイメージをいだいているかを解明する上で、決定的な意味を持っている。こうした発見をもとに、「虹の身体」、チベット医学の夢診断、アーユルヴェーダとチベット医学の関係、マントラの修行が遺伝子にもたらす変化および、チベット医学の治療において、重要な役割を果す本尊が、ブータンの国民国家としてのナショナルアイデンティティー形成において果たしつつある役割などをテーマとする9本の論文(英文2、和文7)を公刊した。また、現在のチベット学の最先端の研究者による『チベット仏教』(サンガ出版)を監修するとともに、チベット仏教、チベット医学をテーマとする項目を執筆した。さらに、チベット仏教と医学を主な主題とする、三回の招待講演(国際伝統チベット医学会における英語による招待講演、および2回の日本語による講演)を行った。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
Journal of Ritual Studies
巻: 30(1) ページ: 37-48
D.Rossi &J.Oliphant (eds.), Shar ro: Festschrift in Honor of Chogyal Namkhai Norbu, Garuda Verlag
巻: 1 ページ: 92-109
身心変容技法研究
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アーユルヴェーダ研究
巻: 47 ページ: 13-18
巻: 5 ページ: 99-106
巻: 47 ページ: 19-28
アーユールヴェーダ研究
巻: 47 ページ: 7-12
マインドボディサイエンス
巻: 26 ページ: 6-11
スピリチュアリティと宗教
巻: 1 ページ: 121-153