本研究では、古代末期の哲学的、神学的な伝統におけるアウグスティヌスの霊的修練に関する、また人間の完成に関する見解をふまえ、キリスト教共同体におけるキリスト教的・異教的な「心性」の問題を考察している。研究の進展に応じて、先行のラテン教父、また東方教父へも考察の範囲を広げたことによって、アウグスティヌスの心性理解が、聖霊と神の恵みのはたらきによって確保される自己変容の可能性を、キリスト論的な思考の展開とともに勝義に捉えていることが明らかにされた。 本研究では、英文研究報告書を作成し、海外研究協力者との協力関係を出発点に、オーストラリア、台湾、ベルギー、英国、カナダの研究者との相互交流を推進した。
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