研究課題は戦前日本の右翼思想家の国家論・ユートピア論であり、それぞれの思想家についてまずドイツ語の論文を執筆し、将来英訳のまとまった本として出版する予定である。2016年、東京帝国大学の国史学教授平泉澄(1895-1984)についての研究を行い、2017年3月、東京に事務局のあるドイツ語雑誌『OAG Notizen』に「Hiraizumi Kiyoshi und der "Geist" der japanischen Geschichte」(平泉澄と日本歴史における「精神」)の論文を発表した。論文は1936年までの平泉の思想を次の節に分けて活動を検討した。一、 平泉の思想的背景(後醍醐天皇の建武中興→楠木正成・『神皇正統記』→山崎闇斎の崎門学・『大日本史』→福井越前藩・白山神社)。二、 1925年までの平泉の思想。三三、 「日本精神」(崎門学・水戸学)を主張する平泉と欧米留学。四、 1931年帰国以来の思想展開と活動。五、 1934年~1936年の「建武中興600年記念」と二・二六事件との関係。 また、2017年1月26日、東京のDIJ(ドイツ日本研究所)で招待講演「The ideologue and activist Okawa Shumei (1886-1957)」(大川周明の思想と活動)を行った。
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