江戸町方人別書上データベースのWeb公開に向け、データチェックと文書収集分析を行った。人別書上データベースは、四谷塩町一丁目8年度分8本、麹町十二丁目3年度分3本、四谷伝馬町新一丁目2年度分2本の計13本である。データチェックは、フィールド追加、用語整理が中心である。追加フィールドは、①異動記録の原本表記、②備考欄、③修正前の原本表記、④三町間の照合記録である。①②③は、従来のデータベースにおいて「備考」フィールドに一括入力していた記録を三分割したもので、原本表記とデータ解釈とを明確に区別した。④は、三町の人別書上作成年が重なる利点に着目し、三町間を移動した世帯の記録を照合、移行追跡をした記録である。記録照合ができた世帯は、居住階層は地借、職業は店舗経営商人もしくは専門職人で、養子縁組や婿取り・嫁取りによる世代交代、分家した忰世帯への転入同居など、地借階層における世帯存続戦略が明らかになった。 用語整理では、閏月における異動年月日の表記を修正した。新表記では、①各年号に対応する西暦年 ②閏月番号001 ③閏月の日付を下二桁+30とする。異動月日不明は0000、日付不明は下二桁00である。新表記による安政4年閏5月10日は、18590010540となる。修正をExcel上で完了し、データベースソフト「FileMaker Pro」のレイアウトの統一、及びWebデザインを作成中である。 文書収集分析では、新宿歴史博物館所蔵「野口家文書」の調査をした。麹町十二丁目町役を務めた野口家に残された資料群である。同町は家守21名に対し、町屋敷数は22区画以上といわれるが未定で、人別書上分析のために町屋敷数の確定が待たれる。「積金帳」(慶応1-明治17)、「自身番地代請取通」(明治5)、「投票相談役員投票用紙」(明治16カ)等の分析、実測地図との照合により、町屋敷数24区画と結論した。
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