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2014 年度 実施状況報告書

中世西日本への白山信仰日吉信仰はじめ諸信仰伝播の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370087
研究機関金沢工業大学

研究代表者

平泉 隆房  金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (20148357)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード白山信仰 / 日吉信仰 / 白山神社 / 日吉神社 / 神社分布図 / 西海道 / 山陽道
研究実績の概要

国土地理院発行の20万分の一地勢図、5万分の一地形図、2万5千分の一地形図の西日本分に、全ての白山神社(神社名は白山社、白山比咩神社などいろいろ)、全ての日吉神社(神社名は日枝神社、山王神社などいろいろ)を書き出し、さらに古代中世の官道、主要な街道・脇街道を書き込んだ。鎮座地に関しては、神社本庁制作・著作『全国神社祭祀祭礼総合調査』に記載された位置情報(東経・北緯の位置情報)を基本としている。作業は全てフリーソフトのカシミール3D上で行い、畿内・山陽道・西海道・山陰道・南海道とも既に終了した。
さらに、それらの白山神社、日吉神社のなかで、鎮座が中世前期以前つまり南北朝期以前に遡ると思われるものの鎮座年代を平凡社歴史地名大系『某県の地名』、神社本庁『神社名鑑』、『式内社調査報告』などによって拾い出した。日吉神社の鎮座に関しては『国幣中社日吉神社大年表』に勧請年が掲げられている神社をまず拾い、白山神社と同様歴史地名大系等を全てあたった。作業は山陽道、西海道についてはかなり進んだ。山陽道・南海道についても順次進めつつある。
現時点では、既に研究が完了している東日本で得られた成果が、これらの諸道でもいえることを確認しつつある。1、延喜式内社のなかに、後年、白山神社や日吉神社を名乗り、あるいは白山さん、とか、山王さん、として親しまれているものがかなりあることを押さえた。明らかに、式内社の衰微に乗じて、白山勢力や山王信仰が入り込んだことを
想定して良い。2、延暦寺領荘園だったり日吉社領だったところの周辺に、現在でも日吉神社があることを押さえた。神社自身の鎮座年代は不詳のことが多いが、中世前期に遡るものが多く含まれていることを想定して良い。3、白山堂また日吉堂というものが散見し、神社のみならず寺院に祀られた白山神、日吉神を考える必要を改めて認識した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究対象の西日本は、本研究の場合近畿以西つまり畿内・山陽道・山陰道・西海道・南海道を指している。既に研究を申請した時点で国土地理院発行の地勢図・地形図上への白山神社・日吉神社の書き出しはほぼ全てが完了していた。
今回の研究初年度のうちに、畿内以下の諸道全ての古代中世の官道および主要な街道・脇街道のほとんどを地勢図・地形図上に書き出すことができた。中世の街道については『中世日記紀行集』はじめ軍記物や多くの諸書によって検討しなければならないとはいえ、藤岡謙二郎氏編『古代日本の交通路』シリーズ、同氏編『日本歴史地理総説 中世編』また古代交通研究会編『日本古代道路事典』より多大の恩恵を受けた。
西海道と山陽道については、中世前期つまり南北朝期以前に鎮座したと思われる白山神社・日吉神社を拾い出し、平凡社歴史地名大系『某県の地名』、神社本庁『神社名鑑』、『式内社調査報告』などによって、その鎮座伝承について確認しつつある。日吉神社の鎮座に関しては『国幣中社日吉神社大年表』に勧請年が掲げられている神社をまず拾い、白山神社と同様歴史地名大系等にあたったが、必ずしも『大年表』の記載と一致しないものもあった。明治期の神社明細帳などの信憑性が意外と不確かであったり、神社本庁制作・著作『全国神社祭祀祭礼総合調査』に掲載された(数は極めて少ない)創建の由緒も平凡社歴史地名大系などと食い違うなど、今後に残された課題も少なくない。とはいえ、作業はおおむね順調に進みつつある。

今後の研究の推進方策

研究対象の畿内・山陽道・山陰道・西海道・南海道のうち、西海道と山陽道について作業が順調に進み、終盤となっているので、今後は残りの畿内・山陰道・南海道についても順次検証していく。
白山神社・日吉神社を地勢図・地形図上に置く作業また古代中世の官道はじめ街道・脇街道を地勢図・地形図上に確認する作業はほぼ完了している。中世前期つまり南北朝期以前に鎮座したと思われる白山神社・日吉神社を拾い出し、平凡社歴史地名大系『某県の地名』、神社本庁『神社名鑑』、『式内社調査報告』などによって、その鎮座伝承について確認する作業は今後のこととなるが、既に終了した作業によって、山陰道がかなり特別な意味を持つ地域の可能性はある。つまり、白山神社・日吉神社ともに少ないことである。従来から神名を神社名に冠した神社が少ないという指摘はあるようだが、これは偶然にそうなったのか、それとも明治期の神社合併策などによってそうなっているのか、確認することとなる。
既に、祭神名による神社分布図も別個に作製しつつあり、それを用いれば、大体の類推は可能であろうと考えている。これまでの研究課程で、石川県(加賀)には伊勢信仰が希薄という説もあるなか、確かに神明神社の数は少ないものの、祭神名で天照大神を祀る神社分布図を作製したところ、石川県には多く存在し、近県の福井県・富山県と遜色ないことを確認している。これは、神社合併策などによって、たまたま神明神社という神社名が埋没しただけのことで、本来伊勢信仰が希薄とはいえない可能性が高いということである。そのような祭神別の分布図を短時間で作製することが可能な状況にあるので、活用していきたい。

次年度使用額が生じた理由

学生アルバイトをお願いし、各種分布図を作製しつつあるが、学生の都合で作業を中断せざるを得ない時期があり、若干の次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額と本来の助成金とを合わせて、県別の地名辞典、県史史料編、そして学生アルバイトに使用したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 中世前期における白山信仰日吉信仰全国伝播についての一考察-東山道を中心として-2014

    • 著者名/発表者名
      平泉隆房
    • 雑誌名

      金沢工業大学日本学研究所編『日本学研究』

      巻: 17 ページ: 1~66

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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