本研究は、この間従事してきた東アジアにおける近代学術知の形成、相互認識、ナショナルヒストリーの形成に関わる研究を土台として、東アジアとりわけ日中韓における近代史学史について、思想史的に解明しようとしたものである。具体的には明治日本におけるナショナルヒストリーの形成が、植民地朝鮮と中国・台湾(「満州」など)において、どのような作用・影響を与えたのかを実証的に解明し、その上で1945年以降の日本史学(日本思想史学)と朝鮮史学・中国史学などに横たわる認識枠の共通性と差異について、ポストコロニアル問題と結びつけつつ分析した。この結果、日中韓を横断した史学史の思想史的研究を現代的視点から明らかにした。
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