本研究の目的は、戦後日本を代表する国際的知識人加藤周一の「知の世界」を解明することにあり、21世紀の国際化時代を生きる日本の知識人の生きる指針を学び取ることにあった。その基礎作業として、加藤の著作を精読することを続け、加藤が遺した厖大な「手稿ノート」を読むこととした。そして加藤の思想と行動の原点と考えられる戦時中に書かれた8冊のノートを――これを「青春ノート」と名づけたが――デジタルアーカイヴ化して公開した。そして蔵書の整理を図書館の協力のもとに進め、立命館大学図書館内に「加藤周一文庫」として開設させた。これによって学外の研究者のみならず、一般市民が利用できることとなったのは大きな成果である。
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