研究課題/領域番号 |
26370095
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
前川 修 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20300254)
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研究分担者 |
岩城 覚久 京都精華大学, 付置研究所, 研究員 (60725076)
増田 展大 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (70726364)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオ・アート / メディア・アート / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
27年度に予定した内容を大きくふたつに分けて概要を説明する。 (1)理論研究:研究代表者は、メディア・アート、バイオ・アートの基盤となっている諸理論のうち、前者については、デジタル・メディア(写真)を例に言説や諸理論の集積と検討を行い、美学会において研究発表を行った(美学会西部会研究発表会:京都工芸繊維大学)。また、グローバル・アートに対するアーティストの実践について講演会をおこない、意見を交換した(下道基行)。さらにバイオ・アートについては、日本におけるこの実践の代表的研究者/実践者である岩崎秀雄氏とアーティストの齋藤帆奈氏をゲストに招いて講演会・研究会をおこなった(ディスカッサントを研究分担者の岩城・増田両名が担当した)。いずれの研究会、講演会でもアートのグローバリゼーションに対するアートの拮抗的可能性を問う論点(「情動」「生命」「機械」という計画に挙げた側面に力点を置く論点)がいくつか批判的に切りだされた。 (2)事例研究:昨年実施できなかった調査を研究代表者はフランスでおこない、上記のデジタル・メディアおよびグローバル・アートについての資料を収集し、上記の研究発表の基礎にした。また、現在の広範な映像文化において、グローバリゼーションの浸透を歴史的に明確にするための文献・映像資料も収集した。バイオ・アートについても研究分担者とともに研究会を行い、問題点を整理し、(1)の講演会の基礎とした。さらに、研究分担者岩城はケネディ宇宙センターを訪問し、スペース・アートの基礎的な資料収集をおこなった。研究分担者岩城、増田は中国での国際研究会でその成果をそれぞれグローバル・アート、バイオ・アートについて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各自の研究課題(理論研究 前川:90年代までとそれ以降、岩城:1980年代から2010年代まで、増田:19世紀後半から20世紀初頭まで/事例研究 前川:ポストメディウム・アート、メディア・アート、岩城:スペース・アート、バイオアート、増田:メディア・アート、バイオアート/研究統合 前川 生命、身体、メディアの観点から、岩城:身体と情動とメディアの観点から、増田:機械と身体の観点から)に引き続き取り組み、合同の研究会・講演会で議論を重ねており、それと同時に、個別に研究発表を国内外でおこない、その成果は部分的に各雑誌にも掲載されている。以上のことから、おおむね順調という達成度を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、理論研究については、引き続きグローバル・アートの言説を収集するが、すでに収集し整理した言説(映像資料)の再検討を行い、そのうえで不足した言説/映像資料を補いつつこれまでの言説と比較検討する。また、ここまでの理論の検討に系譜学的、考古学的観点も織り込んでいくことにする。同時に、すでにおこなった研究会の主立ったもののデータ化し、翻訳や公開も視野に入れた整理をする。 事例研究については、バイオ・アートについての資料の収集整理および検討は続行するが、他方でスペース・アートにも力点を置きながら資料調査や関連研究者との意見交換を考えている。そして、28年度は最終年度に当たるため、研究課題全体の俯瞰に向けて、理論研究および事例研究の双方を含む全体の統括をおこない、その成果を引き続き発表していく予定である。
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