シュルレアリストの女性写真家・作家として近年再発見されたクロード・カーン(本名リュシー・シュオッブ、1894-1954)は、主に異性装や鏡を用いた特異なセルフポートレートによって知られているが、彼女の領域横断的活動を、これまであまり注目されなかった「演劇性」という観点から捉え直すことが、本研究の目的であった。 本研究期間を通して、カーンが1920年代に関与した前衛劇における様式化された身ぶりや仮面・人形という意匠に注目し、それと彼女のセルフポートレート及び著作における演出化との関係から、彼女の言う「肉と言葉」の仮面による「永続的なカーニヴァル」の独自の意味を明らかにした。
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