本研究は近代社会において「天才」「狂気」「障害」という概念が形成される歴史的過程で優生思想がいかなる影響力を持ったかを、特に産業社会における生産性と芸術的才能との関わりに絞って明らかにし、障害者の社会的排除の克服と、障害者と健常者の枠組みを超えた新しい芸術的才能の育成と支援の展望について考察したものである。 研究期間内に、日本における障害者の芸術的才能の育成と支援の課題、その背景にあるイギリス19-20世紀における優生思想の芸術教育に対する影響および日本における受容史を明らかにし、特別支援学校における交流学習やアートワークショップを実践して芸術表現を通した障害児の社会的包摂の可能性を提示した。
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