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2017 年度 実績報告書

「ジプシー音楽=ハンガリー音楽」という19世紀的通念の形成をめぐる包括的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370104
研究機関宮城学院女子大学

研究代表者

太田 峰夫  宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (00533952)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードハンガリー音楽 / ナショナリズム / 「ジプシー音楽」 / ヴァイオリン / ツィンバロム / フランツ・リスト / ヨーゼフ・ヨアヒム / ベーラ・バルトーク
研究実績の概要

「ジプシー音楽」とハンガリーの文化アイデンティティとの結びつきが強まった一つのきっかけとして、民衆劇場でのツィンバロムの使用(およびロマのツィンバロム奏者の雇用)があったことに注目し、年度末に学会発表を行った。他に本年度中の課題としてエルンストやヴィニアフスキなど、「ジプシー音楽」を扱った19世紀中葉のヴァイオリニストたちの作品について研究することを予定していたが、残念ながらこれについては大まかな共通の様式が存在していたことを確認するところまでしか進められなかった。
また、かねてから取り組んでいた19世紀を代表する大ヴァイオリニストであるヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)と「ジプシー音楽」との関連性をめぐる問題については、このトピックが「ジプシー音楽」とこのヴァイオリニストの演奏スタイルとの関連性の問題、ひいては19世紀の弦楽器の演奏習慣全般の問題など、多岐にわたる問題に繋がるものであることが論文執筆を進める中で明らかになった。
全期間を通じて、「ハンガリー音楽=ジプシー音楽」という19世紀的な通念の形成に関して、実際は国外においてすでに通用していた通念をハンガリ ー人達があらためて受け入れ、内面化していった一面もあった可能性について考えてきたが、最終的に、リストやヨアヒムのようなハンガリー生まれ・国外暮らしの音楽家達や、ブラームスのような外国人がこうした通念の形成に一役買っていたこと、その点からすればこうしたイメージはむしろ国内外の人々の相互的交流の産物でもあったことが明らかになったのは収穫だった。一昨年度(2016年度)ボストンで行った研究発表を論文化する計画など、期間内に実現できなかった計画も多いので、そうした計画を着実に実現させることで、本課題の研究成果をぜひ社会に還元させていくこととしたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ハンガリー民衆劇が1880 年代のツィンバロムの普及に果たした役割について2018

    • 著者名/発表者名
      太田 峰夫
    • 学会等名
      2017年度日本スラヴ学研究会研究発表会
  • [図書] バルトーク 音楽のプリミティヴィズム2017

    • 著者名/発表者名
      太田 峰夫
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      慶應義塾大学出版会
    • ISBN
      978-4766424720

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公開日: 2018-12-17  

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