二重君主国時代の「ジプシー楽団」の演奏活動について資料を集め、リストやヨアヒムのような藝術音楽の作曲家やヴィルトゥオーソ(名人)の肯定的な「ジプシー音楽」観が結果的に「ジプシー音楽=ハンガリー音楽」という通念の定着に寄与したことを明らかにした。また、20世紀初頭の音源を比較することで、当時の「ジプシー音楽」の演奏スタイルが同時代のヴィルトゥオーソ達にも一定程度の影響を与えていたことをつきとめた。これらの知見に基づき、2016年6月にボストンの学会で ヨアヒムと「ジプシー音楽」の関係について発表したほか、リストの「ジプシー音楽」観に関する研究においても学んだ知見を活かすことができた。
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