研究課題/領域番号 |
26370105
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研究機関 | 上野学園大学 |
研究代表者 |
船山 信子 上野学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70070357)
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研究分担者 |
渡邊 順生 上野学園大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (30722805)
上尾 信也 上野学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70212420)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 鍵盤音楽史 / 西洋音楽史 / タンゲンテンフリューゲル |
研究実績の概要 |
稀少楽器タンゲンテンフリューゲル(以下TFと略)のオリジナル状態追究を目的に、平成27年2月~4月にヨーロッパに現存するこの楽器の調査旅行を実施した。直接に見て、詳細な調査ができたSpath & Schmahl製作のTFは10台。加えて各博物館所蔵の同時代の鍵盤楽器約50台も見学した(以上の調査旅行の科研関係者を対象とする報告会は平成27年5月29日に実施)。 その結果、次の諸点が明白となった。 1)本学所蔵のTF鍵盤表面奥に装着されている鉛は、調査した10台のうち9台には装着された形跡すら見られなかった(1台は鍵盤奥を見ること不可)。2)詳細な調査を行ったすべてのTFには、ダンパー、モデレーター等のストップ機能が装着されていた。本学所蔵の楽器に残されていた穴の存在理由がこれにて解明された。3)調査協力を得た学芸員、楽器研究家、同修復家の証言により、TFは18世紀後半~19世紀初頭のドイツのレーゲンスブルクを中心とする限定された地域で製作された新しい鍵盤楽器の試作品であったにも関わらず、「時代の楽器」としてウィーンやイタリアで広く流布した流行の楽器であったことが判明した。4)Giovanni Paolo di Stefano氏がTF研究により博士号を取得後、研究を継続しているので、同氏より最新情報を得られよう。5)Myklos Spanyi、Linda Nicholson, Christine Schornsheim等の鍵盤楽器奏者が最近TFに注目し、演奏会や録音などの機会を増やしている。 以上の諸点から、調査旅行で得た情報やデータ詳細を参考にしつつ、本学の楽器の修復を目指す、という結論に至った。日本に唯一現存するこの楽器のオリジナルの音を再現することは責務だが、大変繊細な状態であるため、楽器の状態をみながら修復方法を検討すべきである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、申請時は調査旅行は平成26年8月に実施する予定であったが、西ヨーロッパの博物館の開館状況などを鑑み、平成27年2月末~4月上旬へと移行した。結果、調査旅行の成果を見据えた修復方針の検討、調査報告のとりまとめは、今後の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
調査旅行の報告会実施の後、報告書を作成する。また旅行の調査内容を踏まえた上で修復方法を吟味し、楽器の修復にとりかかる。その状態をみながら、最終的な公開演奏会の実現の可否を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査旅行の実施が、平成26年7~8月より、平成27年2月末から4月上旬へと時期が移行したため、初年次旅費として確保していた予算140万円について、平成26年度内の使用は一部渡航費のみに限られた。
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次年度使用額の使用計画 |
調査旅行は4月上旬に終了したので、報告を受け、平成27年度の使用分として繰越して計上予定である。
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