研究課題/領域番号 |
26370105
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研究機関 | 上野学園大学 |
研究代表者 |
船山 信子 上野学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70070357)
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研究分担者 |
渡邊 順生 上野学園大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (30722805)
上尾 信也 上野学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70212420)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 鍵盤音楽史 / 西洋音楽史 / タンゲンテンフリューゲル |
研究実績の概要 |
1)昨年5月末提出の「研究実績の概要」で報告した楽器修復方針に則りタンゲンテンフリューゲル(以下TFとする)を修復し、製作当初のオリジナルな形にほぼ復元することができた。但し、弦とタンジェントの交換については行わず、基本的に現状のものを使用した。鍵盤の劣化の原因となっていた、はめ込まれた鉛を除去したが、鉛を全て除去すると、鍵盤の端が上がってしまう、という状況が発生した。それは元来、小さな錘が付けられていた証左であるが、どこにどの程度の錘が付けられていたのかが不明のため、暫定的に小さな錘を付けた。1ヶ月余りのヨーロッパ各地の調査に基づき、本学のTFを改めて調査したところ、ネームボードの両端に、それぞれストップが装着されていたと思われる、2つの四角い穴が見つかった。また、本体の裏面には第3の膝レバーが装着されていたと思われる痕跡も確認された。これらの痕跡は、この楽器には初めから5種類もしくは6種類のストップが装着されていたことを示唆しているが、今回の修復に当たり、ハープストップとモデレーターの2つのストップを復元して製作し、装着した。その結果、4つの変音機構を備えることになり、微妙な音色・音強の変化を実現し得る楽器に変身した。 2)研究成果の報告を兼ねた演奏会を、国際音楽学会東京大会2017への協力プロジェクトとして平成29年3月21日に実施した。前半では船山研究代表が、本学園所蔵のTFの歴史と現在について、後半では「18世紀ドイツの鍵盤楽器における新たな視点」と題して、渡邊研究分担者がレクチャーと演奏を行った。復元された新たなモデレーターおよびハープストップが適宜使われることにより、修復前には予想できなかった、多様な音色を駆使した、「18世紀の響き」を披露した。 3)研究分担者上尾教授は、TFと関わりあるクラヴィコードの歴史に関する詳細な研究を行い、論文にまとめている。
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