研究課題/領域番号 |
26370106
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
加藤 一郎 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (60224490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ショパン / バロック音楽 / 受容 / ポーランド時代 / キルンベルガー / アルブレヒツベルガー / オペラ / オルガン |
研究実績の概要 |
ショパンがワルシャワ音楽高校においてエルスネルから学んだ作曲理論(対位法や和声学)の内容、ショパンが観たオペラ、当時の教会における音楽活動、ショパンによるオルガン演奏の実態、当時作られた新種の楽器、音楽出版活動や楽譜の流通等について調査した。この内、ショパンのオペラ体験に関しては Alfred Loewenberg"Annals of Opera 1597-1940"及びZofia Helman,Zbigniew Skowron,Hanna Wroblewska-Straus" Korespondencja Fryderyka Chopina tomⅠ 1816-1831"(『ショパン全書簡 1816~1831年 ポーランド時代』関口時正、重川真紀、平岩理恵、西田諭子編訳)を基に、その概要が明らかになった。その他の部分については国内で予備調査を行った上で9月7~19日、関口時正氏(東京外大名誉教授)と共にワルシャワで海外調査を行った。この調査は主にワルシャワ大学付属図書館、ポーランド国立図書館、ショパン研究所、ショパン音楽大学、WTMで行った。その結果、Alina Nowak-Romanowicz"Jozef Elsner, Monografia" Krakow 1957を入手でき、エルスネルの教育課程が明らかになった。また、ショパンがオルガニストを務めた聖ヴィズィトキ教会の現在のオルガニストTadeusz Olszewski氏による"Materialy do Historii Muzykowania w Kosciele ss. Wizytek w Warszawie"を入手でき、当時の教会における音楽活動やショパンのオルガン演奏の実態について知見を得ることが出来た。しかし、当時のワルシャワでの音楽出版活動や楽譜の流通については詳しい資料が残っていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述したように、ショパンがエルスネルらからどのような教育を受けていたかについては、Alina Nowak-Romanowicz "Jozef Elsner, Monografia"の入手によって、その概要が明らかになった。また、当時のワルシャワの教会における音楽活動やショパンのオルガン演奏の実態に関する知見を得ることが出来、研究の一定の進展が見られた。しかし、ワルシャワには19世紀初頭の詳しい資料が殆ど残っておらず、飛躍的な進展を遂げることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はショパンが主にLuigi Cherubini"Cours de conterpoint et de fugue"からどのような影響を受け、模倣対位法を含む後期の様式をどのように確立していったかについて考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者の成果物の提出が遅れたために、謝礼の支払いが年度内に行えなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
成果物が未提出の研究協力者には早急に提出して頂き、当初の計画通り、研究を遂行する。
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