研究課題/領域番号 |
26370116
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 信之 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30225528)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本の美学 / 間文化性 / 西田哲学 / 触覚の現象学 / ふれること |
研究実績の概要 |
(研究目的)本研究のめざすところは、比較思想の視点から、近代日本において形成された美意識や感性、芸術理論の研究をおこなうことであり、単なる日本文化紹介をこえて、普遍的視点からの研究の枠組みを確立することである。すなわち具体的には、それは、インターカルチャー(間文化性)という観点からの究明であり、さらに、アジアの近代化・西欧化という歴史的文脈において日本近代の思想形成を「相対化」しつつ、同時に埋もれた可能性に光を当てることでもある。したがって今回の研究は、近代日本の文化形成においてこれまであまり注目されてこなかった業績をふくめ、それらを「再評価」することによって、従来にない切り口を探ろうと考えるものである。 以上のような基本方針のもとに、今年度は、近現代日本の主要な哲学者の文化研究に焦点を当てることに努めた。 (研究方法)2014年度は、本研究の遂行に必要な文献と資料を収集し整理すること、さらにそれらを厳密に分析し理解するという仕方で、主として研究が遂行された。 研究上の方法論としては、とくに現象学的方法の可能性が探られ、ドイツ、フランスの現象学と、日本における独自なその展開とが、比較思想的な方法意識のもとに検討された。 (研究成果)現代日本の哲学者・坂部恵の主要業績と、現象学研究の諸成果とを対照させつつ、「ふれる」という感性的経験を掘り下げるというテーマで論文を執筆した。早稲田大学大学院文学研究科紀要に研究成果を公表するとともに、次年度に継続するかたちで、研究ノートの蓄積をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究資料の収集、蓄積に関しては順調に進展したが、それらを整備し、系統だった理論に構成する作業は、まだ着手し始めたという段階である。とはいえ、この点は当初から予想されたことであり、おおむね順調に推移しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は、西田哲学会と美学会という全国規模の学会のシンポジウムで研究成果を発表することが予定されている。これは、今回の研究テーマの中間報告的意味合いを持っており、蓄積した資料をもとに、そこから一つの全体像を引き出すことに傾注するつもりである。なお、両学会とも、海外からの研究者が多く参加するため、意見交換の場とする予定でもある。
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