19世紀ヨーロッパでは、危機的な社会・政治状況の下で各地に結成された芸術家兄弟団が芸術規範に挑んだ新しい芸術を恊働して生み出そうとする動きが見られた。本研究はイギリス19世紀の兄弟団「古代人たち」(1820-30年代)、ラファエル前派兄弟団(1848-50年代)、エトラスカンズ(1860-80年代)を研究対象とし、彼らが恊働して制作した「プリミティヴ」な絵画及び唯美主義的絵画の共通性と差異、兄弟団が抱えた矛盾、グループ間の繋がりを明らかにし、彼らの集団的な芸術実践のありようを考察した。またイギリスのレディング大学名誉教授J. B. Bullen氏を招聘し、本研究課題に関わる講演会を開催した。
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