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2016 年度 実績報告書

プッサン晩年の風景画における語りと寓意に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370131
研究機関名古屋大学

研究代表者

栗田 秀法  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (10367675)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードプッサン / 風景画 / アポロ / ダフネ / エブレオ / バットス
研究実績の概要

本研究では、プッサンが参照したと想定される古代神話や当時の神話誌、あるいは具体的な挿話が16-17世紀の文化的な風土においてどのようなトポスで活用されたのかについての調査を進めることを重点課題の一つとしたが、とりわけプッサン作《ダフネに恋するアポロ》(1664年)について具体的に二点の新知見を得ることができた。1点目は、中景の横臥像が準備素描の分析から「バットスを石に変えるメルクリウス」の脈絡から解釈できる可能性が明らかになったことである。2点目は、作品理解の手掛かりとしてレオーネ・エブレオ『愛の対話』(1535)におけるアポロとダフネの物語の自然哲学的な解釈が注目されることを明らかにしたことである。
また、プッサンに関する国際セミナーを最終年度に開催し、本研究の議論を深め、発信することも課題としていたが、現代におけるプッサン研究の権威ヘンリ・キーゾル氏(ハイデルベルク大学)を招聘し、木村三郎、望月典子の両氏を交えた国際セミナー(使用言語:英語)を日仏美術学会において開催することができた。そこにおいて自説を詳しく紹介し、ディスカッションで議論を深めることができた。さらに年度末には名古屋大学での国際研究集会において別のかたちで自説を披歴し、議論を重ねることができた。
プッサン晩年に制作された一連の風景画(《バッコスの誕生》、《盲目のオリオン》、連作「四季」、《ダフネに恋するアポロ》)では一環として自然の循環が大きなテーマとされているが、それぞれ置かれた力点が異なる。《ダフネに恋するアポロ》では、世界の基本的な要素の循環のテーマに月桂樹と関連した芸術家の不朽の名声のテーマが織り込まれていることが独自なもので、辞世の作にふさわしい構想から生まれたものであると言えよう。
本研究成果は、近い将来の欧文での紹介も念頭においていきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] プッサン作《ダフネに恋するアポロ》(1664年)についての最近の研究動向をめぐる若干の覚書2017

    • 著者名/発表者名
      栗田秀法
    • 雑誌名

      名古屋芸術大学研究紀要

      巻: 38 ページ: 105-117

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Man, Nature and God in Poussin's Late Mythological Paintings2017

    • 著者名/発表者名
      栗田秀法
    • 学会等名
      名古屋大学国際会議助成 "Religious space, ritual and memory"
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2017-02-05
    • 国際学会
  • [学会発表] 《ダフネに恋するアポロ》(ルーヴル美術館、パリ)(英語)2016

    • 著者名/発表者名
      栗田秀法
    • 学会等名
      「21世紀のプッサン」(日仏美術学会ワークショップ)
    • 発表場所
      日仏会館
    • 年月日
      2016-09-05
    • 国際学会
  • [学会・シンポジウム開催] 「21世紀のプッサン」(日仏美術学会ワークショップ)2016

    • 発表場所
      日仏会館
    • 年月日
      2016-09-05 – 2016-09-05

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公開日: 2018-01-16  

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