研究課題/領域番号 |
26370134
|
研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
本田 代志子 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (70713527)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 生人形 / 松本喜三郎 / 安本亀八 / 博物館 / スミソニアン / ホーレス・ケプロン / 花沼政吉 |
研究実績の概要 |
本年度は、アメリカの博物館に所蔵されている生人形作品の調査、実見、および関連する資料を収集し検討を進めた。 スミソニアン博物館所蔵の松本喜三郎作品の収集を行ったホーレス・ケプロンに関連する資料を、ワシントンDCのスミソニアン自然史博物館、スミソニアン・アーカイヴ、議会図書館、ニュー・ヘイブンのイェール大学図書館にて収集した。安本亀八作品の収集家フレデリック・スターンズの資料はデトロイト美術研究所、デトロイト市図書館で収集を行った。カーネギー博物館(ピッツバーグ)では安本亀八三代目作品を実見し、関連資料を収集した。さらにピーボディ・エセックス博物館(セーラム)では、生人形制作者に関する資料を収集した。これらの新たに収集した資料の精査を進めており、博物館への収蔵経緯や展示目的、受容についての情報を得ることができた。なかでもスミソニアン博物館での展示において、松本喜三郎作品が他のマネキンの質の向上へ影響を及ぼしたことが判明した。さらに生人形師と作品所蔵者との仲介を担った人物や業者の存在についても解明が進んでいる。 現存作品の調査と同時に、米国の博物館での作品は確認できていないが、出版された文献資料や個人蔵作品が残る同時代の生人形師花沼政吉に関する資料の収集を行った。その作品流通や米国での受容の経緯において、上記の博物館所蔵作品が教育的観点から注目されているのに対し、娯楽の要素が強調されるなど興味深い相違点が明らかとなった。 次年度は、上記の資料に関連する日本側の文献の収集、あわせてヨーロッパ調査を行い、その全体像を多角的に明らかにしていきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度のアメリカでの調査に関しては、資料に関する新たな情報を入手したため、当初の予定よりも重点的に行った。そのため予定していた日本国内での調査の一部を次年度以降に行うことにした。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度での計画のうち一部先送りとした日本国内での調査を進める。また2年目の計画であるヨーロッパ調査、3年目のロシア調査のため、さらに情報収集、準備を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
アメリカでの文献収集を優先させ、国内での調査がやや遅れ、その国内旅費使用が少なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
国内での調査をより精力的に進める。また次年度は資料解読においての謝金を予定している。
|