研究課題/領域番号 |
26370134
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
本田 代志子 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (70713527)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生人形 / 松本喜三郎 / 安本亀八 / 花沼政吉 / マイケル・トムキンソン / ウィリアム・オルト / チャールズ・ウェイド / ヴィクトリア&アルバート美術館 |
研究実績の概要 |
本年度はイギリスに所蔵されている生人形の調査、実見、および関連する資料を収集し、検討を進めた。 ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵の甲冑像、駕籠に乗る女性像を調査した。その購入者である長崎に滞在していたウィリアム・オルト、旧所蔵者の日本美術収集家マイケル・トムキンソンについては美術館のアーカイブにて、購入記録の情報を収集した。 スノーズヒルのナショナル・トラスト管理のマナーハウスでは、チャールズ・ウェイド旧蔵の花沼政吉作と考えられる2体の小品の像を実見し、関連資料を入手した。合わせて、これまで知られていなかった甲冑像に付随した人形も確認した。ボーンマスのラッセル・コテス美術館では、1885年の日本滞在時に収集したと思われる小品の相撲像、さらに脚のみ残る資料を実見した。またロンドンのナショナル・アート・ライブラリーにて、トムキンソン、花沼政吉に関する資料を収集した。このイギリス調査によって得られた情報の分析により、以前に調査したデンマーク国立博物館所蔵の女性像と同様に1860年代後半の長崎で制作されたものであること、同じ主題であるなど興味深い共通点が多いことが判明した。 一方、国内では、国立国会図書館、横浜開港資料館等を中心に、生人形の関連資料の収集を行った。文京区ふるさと博物館では、山本福松資料を収集し、解読を進めている。東京都公文書館では当時の行政記録により安本亀八の居住歴等、作家経歴の充実化を進めた。 次年度はロシアおよびアメリカの未見の作品の現地調査を主に、国内外の生人形全般の情報を収集し、その全容に迫りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度のヨーロッパでの調査に関しては、新たな現存資料の情報を得たため、当初予定していた作品の再調査よりも、未見作品のイギリスでの作品調査を優先して行った。その際に一次資料が多く収集できたため研究が進展した。 ただし、ドイツで調査を予定していた博物館では、収蔵庫の移転時期と重なり、今回の調査を行うことができず、次年度に調整したいと考えている。 国内の調査に関しては、作品に関連する資料の収集、分析が進んでおり、研究が順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度予定しているロシアでの現地調査を行い、資料収集を行う。 先年、新たに得た所在情報により、アメリカでの未見作品、資料の調査も追加したいと考えている。 国内においても、新情報をもとに、関東、関西、九州において未見作品の調査を行う予定である。また、研究最終年として、関連資料収集や古文書の解読、分析を進め、研究成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたドイツの博物館が収蔵庫の移転直後のために調査ができず、海外旅費使用が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
ドイツに代わり、アメリカでの調査を追加する。先年に新たに得られた情報である未見作品の現地調査、および初年度に日程上実現しなかったウィスコンシン州のアーカイブ調査とあわせて行う予定である。また、成果発表の際の英文校閲等の謝金も予定している。
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