本研究の目的は、東南アジアにおける美術史研究史、すなわち美術史学の成立と進展状況、それぞれの特色について、各国の状況を比較しながら明らかにすることにある。一次資料の収集を広く行ったほか、東南アジアに固有の問題として、学術的な美術史研究が乏しく、美術展覧会の歴史や、美術史研究の当事者あるいは展覧会企画者の個人史の解明が重要との認識から、現場で美術史を作り、あるいは美術史形成の場に立ち会った当事者たちへのインタビューを行い、それをインタビュー集としてまとめることができた。オーラル・ヒストリーとしての東南アジア美術史、それも当事者たちの内面的な歴史としての美術史形成の一助となろう。
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