17世紀フランス美術が理想のモデルとして掲げた古代美術、ラファエッロ、プッサンという「三者」間の評価のバランスと揺らぎは、様々な価値観の推移と連動しているはずである。本研究は、17世紀の「古典主義」時代の美術を取り巻く制度上および理念上での革新を、模範となる「芸術家」像の社会的表象の変遷から読みとくことを試みた。とりわけフランスの当代の画家としてプッサンを理想化する中で、「三者」の関係性がどのように変化していったのかを、「三者」の受容史から分析し、それによって、フランス「古典主義」が内包する価値観の振幅と多様性の一端を示した。
|