中世刀剣書の調査・収集として、刀剣博物館、和鋼博物館、臼杵市教育委員会、東京都立図書館、国会図書館、国文学資料館、内閣文庫、島原図書館、天理図書館、佐賀県立図書館、中之島図書館、東京大学史料編纂所などに所蔵されている中世刀剣書及び刀剣書の調査・撮影・複写を行った。これにより、主要な中世刀剣書及び新出の中世刀剣書を収集することができ、日本最古の南北朝時代に書写された中世刀剣書も新たに発見することができた(現在論文を作成して学術雑誌に投稿して査読審査中である)。さらに、調査成果を踏まえて中世刀剣書を史料学的に分析し、刀剣書が鎌倉時代に成立して南北朝~室町時代に増補されていく過程、中世武家社会で刀剣書が流布していく過程を具体的に明らかにできた。 また、収集した中世刀剣書から、平安時代後期~鎌倉時代の刀鍛冶を抽出して翻刻・校訂作業を行い、その成果を基にしてデータベース化した。古文書・古記録についても、刊本史料集から日本刀に関する記事を調査・収集し、東京大学史料編纂所で未活字史料(写真帳など)から日本刀に関する記事を調査・収集した。その成果を基にして、平安時代後期~鎌倉時代の刀鍛冶に関する記事を抽出してデータベース化した。日本刀関係書籍を調査し、国指定文化財(国宝・重要文化財・重要美術品)及び財団法人日本美術刀剣保存協会指定品(特別重要刀剣・重要刀剣)から平安時代後期~鎌倉時代の現存する在銘刀剣を抽出・収集し、その成果を基にしてデータベース化した。完成した3つのデータベース(中世刀剣書・現存する在銘刀剣)を統合し、平安時代後期~鎌倉時代の刀鍛冶のデータベース(刀鍛冶名・作刀時期・地域・流派)を構築した。そのデータの一部については、HPを作成して一般公開の準備を行っている。
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