今年度は調査対象等を絞り込むにあたり、京都府総合資料館にて「京都府古社寺取調調書」「社寺明細帳附録」をはじめ、各社寺の明治時代前期の状況を確認。とりわけ本科研において検討の中心となる石清水八幡宮については京都府総合資料館カード目録を精査し、明治初期の石清水八幡宮にかかわる様々な動きを把握しようと努め、また石清水八幡宮では『八幡愚童記』の撮影をおこなった。また石清水八幡宮内にあった神宮寺の本尊が淡路島東山寺に移座されており、当該像の調査をおこなうなど、現地調査にもつとめた。
各神社の動きに注意すると同時に、神社に付随する寺、いわゆる神宮寺に安置されていたと伝えられる仏像は数多くがあるが、その全貌は把握できておらず、またその伝承の根拠もはっきりしないものが多い。今年度はそれらのリストアップの作業をはじめた。本作業は、初期神仏習合の実態を解明していくためにも基礎的な作業となるものであり、調査する作品を選定するうえでも重要な作業である。
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