南宋の都・杭州出土の曜変天目をはじめとした出土資料の考察を通して、天目茶碗の中国での位置づけを再検討するとともに、出土品や伝世品の科学分析調査や再現に取り組む陶芸家との学術交流を通して、天目研究に新たなアプローチを試みた。とりわけ、藤田美術館所蔵の国宝曜変天目に対して世界で初めて科学分析調査を行い、釉薬には基本的に鉄やマンガン以外の重金属類が用いられていない点などを科学的に明らかにし、曜変の斑文や虹彩(光彩)の発生メカニズムに関する新知見を得ることができた。なお、本研究はNHKのETV特集でも大きく紹介された。
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