本研究は、江戸時代中期および後期の公家がどのような絵画表現を試みていたのかを明らかにすることを目的とした。 その結果、100名を超える公家が絵画制作に携わり、約200点の現存作例を確認した。作例は人物、山水、花鳥画など広範囲の画題を確認した。またその表現は、江戸時代中期に活動した公家は、狩野派や土佐派などの表現を採る者が多くいた。江戸時代後期になると、土佐派や狩野派に加えて、新興の流派ではあるが、広く人々に受け入れられた円山派、四条派、岸派、南蘋派などの新たな表現を取り入れた公家の作品が多数確認できた。よって絵画を手掛けた公家は、同時代の絵画表現の動向に機敏であったことが明らかとなった。
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